ライブハウスの本。
2008年7月1日(火)
佐藤行衛(さとうゆきえ)ちゃんは長年の友人。
ゆきえちゃんと言っても男性であります。
彼は現在韓国在住。
なぜかというと実は日本人でありながら韓国でデビューしたロックミュージシャンだからであります。
「へー、そんな人いたんだー」と思われるかもしれません。
それもそのはず、なんと日本人初のデビューだったそう。
当然ながら日本語で歌っても通じませんし、そもそも韓国では日本語で歌ってはいけないという事情もあったそう。
で、彼は韓国の言葉で歌っていたのです。
なぜ彼が韓国でロックをやるようになったのかについて書くと長くなるので超省略すれば、彼はロックの造詣がハンパなく深く、超レアなレコードまで集めまくっていました。
中でもGSは大好き。
そんな彼は深く深く掘っているうちに韓国にもGSがあったことを知るのでした。
「うおー、韓国にもGSもあればロックもいっぱいあるじゃないか」と日本を掘り下げつくしてしまった彼はなんと韓国へと旅立つのでした。
なんという行動力でしょう。しかものちに韓国でデビューまでしてしまうのですからびっくりです。
日本人が韓国の言葉で歌う姿は韓国の方々にはどう映ったのでしょう…。
こう書くと、つい引き合いに出したくなるのが演歌歌手のジェロですかね。
ジェロの歌と同じ感覚なのかどうかはわかりませんが、日本人ばかりの佐藤行衛ちゃんのバンドは韓国のニュースなどで取り上げられるなどかなり珍しがられたようでした。
さてさて、ゆきえちゃんの話が長くなりましたね。
実は彼がこの前帰国した折、「この前、本屋でさ、ライブハウスについて書かれた本が売っていたのよ。ちょっと読んだけど面白そうだったよ」と言っていたのです。
さっそく読んでみました。
その本の名前は「ライブハウス文化論」。
ライブハウスについての認知度などの意識調査や歴史、そしてそれに関わる方々の意見、そして現在、多くの方がライブハウスだと認識しているであろうロック系ライブハウスの実態を事細かく紹介した本でした。
これまでロック系のライブハウスについての本は「ライブハウスガイド」とかの類のものはよくありました。
しかし、文化論というくくりでのそれはジャズ以外は見たことがなかったのでとても興味深く読ませていただきました。
著者は自分の考えを読者へ押し付けることはせず、研究したことを発表しております。
この背景はきっとライブハウスについての思いが人それぞれ違っていたからかもしれません。
著者は意見こそしませんが記述が多かったのはチケットノルマ問題でした。
「ノルマって何?」と言われる方もいるでしょう。
ロック系などのライブハウスで言うところの出演料というのはなんと「ライブでもらえるギャラ」ではなく「出演するためにライブハウスに払うお金」のことなのです。
「何それー?」
でしょう?
でもこれロック系ライブハウスでは割と常識なんです。
無論、アマチュアバンドとかの話ですけど。
そういえば、その昔、西荻窪の飲み屋さんであるミュージシャンと飲んでいた時の話です。
偶然、某ライブハウスのブッキングをしているという方がやってきて我々の隣のテーブルに座りました。
その飲み屋のマスターが紹介などしてくれるものだから、私は自己紹介し、一緒に飲んでいる方はミュージシャンであることを告げました。
するとなーんとその某ライブハウスの方はこんなことを言い出したのです。
「えー、ミュージシャンですか? うちにも出演してくれませんか? うち、ノルマ安いんです」と。
我々は「は? あんたアホちゃいますか?」と思いましたが、そうは言わずにおきました。
要するに日本のロック系のライブハウスに関わっている方々はその小さな井戸の中での常識しか知らないというお粗末なお話であります。
本の著者は「アホちゃいますか?」とこそ書きませんが、行間には「こんなことでいいのでしょうか」とライブハウスの行く末を心配されているかのようでありました。
と、とても「ふむふむ面白いなあ」と読んでいたのですが、実は超びっくらこいたことがあったのです。
なーーーーーんと、私の書いた「荻窪ルースター物語」を参考文献として途中に引用しておられるのです。
うーむ、さすがは「ライブハウス文化論」という名の本を出されるお方。
ライブハウスをすみずみまで研究し、私の書いたような目立たない本まで読んでおられたのです。
そして「いよいよ読み終わるなあ」と思って読み進めていたら「どっかーん!」またまた「1997年にオープンした荻窪ルースターはこうである」と書いておられるではあーりませんか!
「いよっ!大統領!寿司食いねー!」
著者様、どーかご安心を。
世のライブハウスの問題点を提起していただいたので今度は「ライブハウスというのはこうあるべき」という見本を私が人生を掛けて創り上げてまいります。
究極の選択。
2008年7月4日(金)
いやいや、7月からまたしてもガソリンが値上がりしましたねー。
「んー、こりゃいかんな6月中に満タンにしておこう」と6月30日のルースター閉店後にガソリンスタンドへ。
たどりついたら「あれれ、柵がしてあるぞ?」
「うわ、これはまさか!」
そーなのです。なんとガソリンが売り切れていたのです。
しっかしまあ、ガソリンが売り切れるほどの事態ってどえらいことですなあ。
しょうがないので7月に入ってからガソリンを入れにいったわけです。
さていざ、ガソリンを入れる直前のこと。
「満タンにするとそれだけ車の重量が増えるからちょこっとづつ入れたほうが燃費はよくなる」ってテレビで言っていたことを思い出したのです。
「じゃあ、3000円って表示のボタンを押してみるか」と給油を開始。
するとガソリンが出始めたと思いきやすぐにストップ。
「むむむ? なんだよまだ16リットルしかはいっとらんのに」と私は思いました。
「あああああああああ、そうかーーーーーーー」。
なんと3000円では16リットルしか入らないのです。
なんてことでしょう。以前は16リットルなら2000円もしなかったような…。
「こりゃーやばい世の中になっちまったぜー」と思いながら青梅街道を走ってみてこれまた「あれれ?」
すっげー道路が空いてるのであります。
「もしかするとガソリンが値上げしたので道路が空いているのかもしれないぞ」と思ったわけです。
さて、ガソリンが安くて渋滞するのと高くて空いているのとどちらがいいのか?
ガソリンが高いほうが地球には優しいが私には厳しい。
みなさんはどっちですかね。
餃子の小皿。
2008年7月9日(水)
今夜は水野正敏さんと江川ほーじんさんのおふたりによるツインベースのライブでした。いや、ツインベースというよりもツイン司会ライブと言ったほうが正しかったかもしれません。
と言いますのも1ステージに3曲しかやらないで後はずっとしゃべっていたからであります(笑)。
たしか以前はもう少し曲をやったような気がしますが、このお二人、西日本ツアーから帰ってきたばかり。
おそらくこのツアーにおいてしゃべりすぎて用意していた曲を全部やると時間をオーバーしてしまうという経験をされてきたのではないかと推測するのであります。
そこでその反省を踏まえてしゃべりを減らし、曲を増やすという常識の考え方の逆、つまりしゃべるために曲を減らすというところに落ち着いたのだと思います。
たしかに爆笑に次ぐ爆笑で曲をやっている時間以外はずっと笑わされっぱなしだったのです。
こんなに爆笑ではさすがにしゃべるための曲の削減は致し方ないところかもしれません。
ところでそのツアーでの出来事でこんなことがあったそうです。
ファミレスで水野さんが餃子を注文したのですが、醤油とラー油とお酢を入れる小皿がなんと小皿ではなく小鉢であったのだそう。
しかもその小鉢の大きさが餃子よりも小さいがために餃子を横たえてタレに浸けることができなかったのです。
「こんなことで水野さんは怒ったのだ」といつも怒ってばかりいるイメージ(水野談)のほーじんさんが言ったものだから水野さんは「そしたらあれですか? 試験管に醤油とラー油入れてクルクルっとしてやなー、そこに箸でつまんだ餃子入れて食べますか?」と切り替えしたのです。
「それと同じようなもんですわ。私は餃子を横にしてタレを浸ける主義なんです」と水野さん。
よくもまあ、こういう話が次から次へと出るものだと関心しきりでありましたが、実は私もおととい荻窪のガストで同じ体験をしていたのです。
で、「なぜ小皿でなく小鉢なのだ!」と確かに思ったのです。
まったくもって納得のいかないお話だと思います。
ん? そんな話で曲を減らすのかとお思いの方もおられたかもしれませんねー。
しかし、その話題をこうしてさらにここに書いてしまう私も私ということですかな。
ぬははははは。
ここからは翌日書いたもの。
と、上記のように書いてみましたが、これについて「なぜなのだろう」と一晩掛けて考えてみたところ私なりに「もしかするとこういうことかもしれないぞ」という結論が出たのです。
つまり小皿の場合、子供さんなどが箸から餃子をぽろっと落としたりするのではないかと。その際、確実にタレはビシャッと回りに飛び跳ねるのです。
しかし、小鉢の場合、餃子を落としたとしても周りにはタレが飛び散りにくい。
ファミレスなどではこのような事件が積み重なって小皿ではなく小鉢にしてみたのではないかと推測するのであります。
当たりかなあ?
趣味は何ですか。
2008年7月11日(金)
最近、「趣味は何ですか」と聞かれると返答に困ってしまいます。
もちろん音楽は趣味の延長線上にあるのですが、それが仕事となってしまっているわけで、それでは「仕事が趣味です」みたいなノリ。
趣味が仕事になってしまった方は多いと思いますが、イメージ的には趣味というのは仕事以外のもののような気がします。
私はその昔、「釣りが趣味です」と言っていたのですが、もうぜんぜんやっていないのでそう言うわけにもいきません。
釣りと言っても本格的な方々とは違って私の場合は「おかっぱり」派。
船に乗らず、堤防などから釣るのが好きなのでした。
そもそも海まで釣りに行くというのは、ちょっと遠足にでも行くかのような気分にさせてくれ、しかも小魚とはいえ、釣れるとめちゃめちゃ楽しいのです。
ところが釣りが好きな割りに餌のにおいが手につくのがどうも苦手なのでした。
まあ、育ちがよいので仕方ありません。
そこで思いつくのがルアー釣り。
いわゆる小魚に見立てた疑似餌を使用する釣りならば手に餌のにおいも着かず、さらにヒットした感触は最高なのではないかと想像するのです。
これまで何度かルアーは試した経験はあるものの一度も釣れた事はありませんでした。
で私はだんだんと釣りから遠のいてしまったのです。
しかーし、先日ちょいとナイスな情報を仕入れてしまったのです。
なんと最近はルアーでアジを釣っている方々がいるらしいと…。
アジがルアーの対象魚であったとはまったく知らなかった私はかなり興味をひかれました。
なぜなら堤防から一番釣れるのはアジだからです。
もうちょっと下調べをしてみていい感じそうなら釣りを復活してみようかと思います。
そうすれば「趣味は何ですか?」と聞かれたら「ルアーフィッシングです」と答えちゃうかもですなあ。
あ、そうそうアジって言っても堤防で釣れるのはアジの開き定食などにはなりえない大きさですがね。
ポッドキャスト初体験。
2008年7月12日(土)
7月15日に行われるガットギター・ハーモニカ・ウクレレな夜に登場されるIWAOさんのポッドキャストへ出演してまいりました。
以前ここに書きましたがポッドキャストというのはインターネットラジオみたいなもの。放送時間の枠には制限がないということだったのです。
ルースターのことやライブのことなど、話したいことは山のようにありました。
ところが、終ってみれば実にあほなことしかしゃべっていなかったのでしたー。
いやいやこんなことでよかったのでしょうかという若干の反省はありましたが、それ以上にめちゃめちゃ楽しい時間でしたねー。
なにしろ収録していない時間にもずっとIWAOさんと会話していたのでもうどれを録音したのやらとわからないくらい。
おまけにIWAOさんのしゃべりのテンポがよいため、私は考えてからしゃべるという余裕はゼロ。
なにしろIWAOさんの頭の回転速度は目が回るくらいに速い速い。
みなさんもお時間に余裕があったらぜひ聞いてみて下さいね。
先週は7月15日にIWAOさんと出演する長澤紀仁さんとmatsumonicaさんがゲストで出演していますよ。
いえいえ、それだけではなく最初からさかのぼって聞いてみることをオススメしますよ。
この番組面白いっす。
http://web.me.com/iwao612/Iwaos_Podcast/Podcast/Podcast.html
スチールパンってご存知?
2008年7月13日(日)
スチールパンという楽器をご存知でしょうか?
ちょいとWikiなんとかから引用してみますと
スティールパン(Steelpan)は、ドラム缶から作られた音階のある打楽器で、独特の倍音の響きを持った音色が特徴。カリブ海最南端の島国・トリニダード・トバゴ共和国で発明された「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明」と呼ばれており、トリニダード・トバゴ政府により、「国民楽器」として1992年に正式に認められた。 スティールドラム(スチールドラム)とも呼ばれる。
トリニダード・トバゴ独立後、アメリカやイギリスなど先進国への移民の奨励によって、世界中にスティールパンが広まった。その後、スティールパンはジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」にも使用され、グローヴァー・ワシントン・ジュニア&ビル・ウィザーズ「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」で一躍、世界的に有名な楽器となった。
ということであります。
実は日本においてもCMソングなんかではよく耳にしています。
当店においては数年前に日本のスチールパンの第一人者、原田芳宏さんに出演していただいたことがありまして、その音の美しさと来たら筆舌に尽くしがたいほどのものでした。
あの素晴らしい音を生でぜひみなさまにもご体験していただきたいのです。
そこで本場、トリニダードトバゴから来日しているトニー・ガッピー(アンソニー・グッピー)さんと当店でもお馴染みのモヒカン頭のピアニスト、関モヒカーノ恭史さんらによる超合金、いや超豪華メンバーによりますライブを行ってしまおうと思っているのであります。
トニー・ガッピーさんは本場のスチールパンコンテストで優勝されて大絶賛で大活躍されていたのですが、日本にやってきて活動をされているナイスガイな方です。
2008年8月26日にルースター本店でございますのでチェキラウトでっせ。
こんなライブは他にないでしょう!
2008年7月17日(木)
ルースターの場合、他のライブハウスではあり得ないブッキングを試みたりすることがよくあるのです。
先日のベンチャーズカバーナイトはおかげさまでソールドアウト!
涙ありと笑いありのとっても素晴らしいライブになりました。
いやー、「あの人とこの人が一緒にやったらきっと面白いはず」が見事にはまったときはやってよかったとつくづく思うのでした。
しかも失敗は許されない! なぜならお客さんにもミュージシャンにも申し訳ないっすから。
そりゃーもう、メンバー集めやその後の打ち合わせを含め、全員へ連絡するので仕事量は通常のブッキングと違って山のようになりますぞ。
ライブまでの仕事量が多いということは他のライブハウスではまずやらない。
普通、ブッキングってバンドリーダーとのやりとりで済んじゃうものですから、ほとんどのライブハウスではそういうブッキングしかやってないっす。
あ、出演者をいつも募集しているようなだめなライブハウスは例外です。
ライブハウスはライブをお客さんに楽しんでもらってなんぼですから、出演者を募集してしまうライブハウスはその時点で失格です。
おっと横道にそれちゃいましたねー。
さらに言えば、ミュージシャンの組み合わせはルースターならではのとんでもない発想の組み合わせをしちゃうので絶対どこもやれないのです。
「うーむ、やるもんだなあ」と誰もほめてくれないのでここはひとつ自画自賛。
というわけでルースターならではのライブは今月はまだ続きます!
●7月23日(水) ウルトラギターバトル「超フュージョン」 CHARGE:2800円
竹中俊二(g) 布川俊樹(g) 矢堀孝一(g) グレッグ・リー(b) 平山恵勇(d)
●7月25日(金) ルースターギタリストまつり CHARGE:2800円
和泉聡志(g) 王様(vo.g) 駒村光(g) 杉本篤彦(g) 江口弘史(b) 松本照夫(d)
どーじゃーーーー! ギター好きならこの組み合わせは絶対唖然。
これ両方来なきゃならんでしょー。
そーです。ルースターは世界でただひとつ。
間違いなく日本の中ではトップクラスで面白いはずなのです!
残念ながらまだまだ無名なルースターですし、こういうライブをやっていることは角のタバコ屋のおばちゃんも知らないだろうし、阿佐ヶ谷の西友で野菜を買っているおばさんも知らないでしょう。
うー、もったいない。
このままではいかんのです。
なにしろ最高なミュージシャンがわんさかなんやでー。
絶対に日本中でいや世界中から注目されるライブハウスになったるんや。
そのためには!
どーしたらいいのかなあ…。
ラッキー。
2008年7月18日(金)
昨日は荻窪ブルース夏まつりと題したライブ。
出演は塩次伸二さん、KOTEZさん、江口弘史さん、波田野哲也さんでありました。
このメンバー、実にど最高で、相性もばっちり。
それだけでも最高なのに、思わぬ飛び入りゲストが現われたのでした。
その方とはジョンブラックウェル。
あのプリンスやマドンナのドラムなのであります。
連れてきてくれたのは8月12日に出演する遠山麻繭さん。
いやいやものすごい方がお知り合いですねー。
しかし、「クランベリージュースはないの?」という外見には似合わぬかわいい面を見せておりましたっけ。
ステージ上で塩次さんから「彼のドラムのDVDを持ってまっせ」という発言があり、その後、いきなりのセッション。
嵐のようなドラムソロを交えて2曲叩いてくれました。
満員のお客さんから大絶賛の拍手でありました。
その後、後半にやってきたのはブルースハープのパイオニア、妹尾隆一郎さん。
またしても豪華セッション!
になるかと思いきや、ステージ上から気がついてもらえずに、呼ばれることはなかったのでしたー。
いやー、妹尾さん、おかげでコラムのオチに書かせていただけましたー。
オススメの映画館。
2008年7月22日(火)
ユナイテッドシネマ豊島園という映画館は実にいい感じであります。
以前、六本木ヒルズの映画館に行ったときに、「最近は映画館も居心地がアップしてきたものだな」と思ったのですが、いかんせん映画館というのは新宿や銀座、六本木など繁華街にある場合が多く、人気の映画がかかると混雑するのは否めないのであります。
ではちょいと都心から外れた映画館にでも行こうものならば、古めかしかったり、あるいはちょいとスケールダウンしていたり。
人口や観光客との対比ですからある程度仕方のないことかもしれません。
ところが、前述のユナイテッドシネマ豊島園は凄かった。
何が凄いってひとつの建物に映画の部屋が9室もあるのです。
そのいずれもが通常の映画館よりも前の座席との高低差があるため、前の人の頭が邪魔になることはあまりなさそう。
しかも、驚くほど広いロビーに30メートルはありそうな売店カウンター。
喫煙ルームは換気がよい上に孤立した感じはなく、まるで高級ホテルのそれ。
おまけに駐車場完備で映画を観ると3時間無料ときたもんで、いたれりつくせり。
何もかもがゴージャス感覚っすねー。
つまり、ちょっとセレブな気持ちで映画を観れるのであります。
ちょっとセレブな気持ちで何の映画を観たかと言いますと…。
「崖の上のポニョ」でしたー。
感動したー!
こしいしわたる版画展。
2008年7月24日(木)
ルースター本店にお越しいただいた方は全員が気がつくであろう絵が階段にあります。
ブルースやジャズミュージシャンたちの絵です。
この絵はルースターの階段スペースにありながら、これまでいろんなところで活躍しておりました。
週刊モーニングで連載された漫画「Hey!ブルースマン」では初回がルースターが舞台となり、巻頭カラーは階段の絵からスタートを切りました。
数年前のテレビ朝日系のドラマ「雨と夢のあとに」ではジャズのライブハウスが舞台となり、店名はそのままルースターでした。
そのジャズのライブハウスの壁面にはあの絵が描かれておりました。
そして先日のフジテレビ系の「和田アキ子物語」でもあの絵が大阪のライブハウス店内の壁面に使用されました。
もちろん私の本、「荻窪ルースター物語」の表紙にも使われております。
さて、この絵を描いてくれた「こしいしわたる」さん版画展が9月6日から15日まで根津のギャラリーokarina Bで開催されます。
詳細はhttp://www.koshiishiwataru.com
本来の画風はあの絵とはまったく違うのです。お近くの方はぜひ覗いてみてください。
『THIS IS BOSSA NOVA』
2008年7月26日(土)
昨年の夏に『THIS IS BOSSA NOVA』という映画が公開されておりました。
私はすっかり見逃してしまっていたのですが、お恥ずかしい話やっとDVDで観たのでありました。
この映画はボサノヴァはこうして誕生したというインタビュー形式のドキュメンタリー。
ボサノヴァは、1962年にニューヨークのカーネギーホールで開催されたコンサートと、翌年録音された『ゲッツ/ジルベルト』の大ヒットによって、世界中で爆発的にヒットしたのはご周知の通り。
ところが、実際に映画を観て話には聞いていたことが「へー、そっかあ、なるほどねー」となりました。
中でも一番「おー」と思ったのはボサノヴァは若者が集って考え出したという点。
ジャズもロックもそうですが、新しい波はやはり若者が創造していたのでした。
しかも、あのささやくような歌はアパートで歌っていたため近所迷惑とならぬように小声で歌っていたからそうなったのです。
これも話には聞いていたことでしたが、私は漠然と日本家屋の木造アパートでフォークソングを歌う、あの4畳半フォークみたいに生まれたのではないかと想像していたのです。
ところが実際は違いました。
映画ではなんと建物の前に立ち窓を指差して「あの部屋に集ってね」としゃべっていたのです。
日本の50年も前の木造アパートはもう無いでしょうが、リオデジャネイロのそのアパートはいわゆる諸外国で言うところのアパート。今も普通に健在だったのです。
つまり、映画「三丁目の夕日」は懐かしい映像ですが、この映画では昔も今も建物は同じだったのです。
それも青い空と海が広がるなんともさわやかな土地柄ですから、日本のフォークソングのように石鹸がカタカタ鳴ったり、きゃべつばかりをかじっているという寂しげな雰囲気ではありません。
とてもおしゃれな若者たちが新しい傾向の音楽を生み出し、それはブラジルが世界に誇れる宝であるとまで言い切っているのです。
でも元はアパートの一室からスタートしているわけでなんだか勇気をもらえるような気もします。
いやー、音楽っていーなあ。またじっくり観直そうと思います。
崖の上に建つノスタルジックな音楽喫茶。
2008年7月29日(火)
愛車を走らせ、千葉県は南房総までドライブしてきたのであります。
というのも以前、ベーシストの江川ほーじんさんに聞いていてとても行きたくなった喫茶店がそこにあるからでした。
千葉県安房郡鋸南町元名1というところにある音楽喫茶「岬」がそれ。
海辺のカフェはよくありますが、この「岬」は想像を絶したロケーションにありました。
カーナビに連れられ海沿いの国道127号線を走っていると道路際に小さな矢印付の「岬」の看板を発見。
細い砂利道を抜けるとそこは岩場の海辺でした。
「崖の上のポニョ」ほどの高さではありませんが、この岩場の海を見下ろすように「岬」は建っておりました。
周辺には他にお店はおろか、家もありません。
そういう場所で30年という歳月、青いペンキの木造の小さな喫茶店は潮風と共にあり続けてきたのです。
外から見上げると窓は全開。
潮風が店内に入っていきます。
階段を上がると6畳あるだろうかという店内に所狭しと写真や絵が飾られていました。
それらはきれいにならべてあるわけではなく、このスペースが空いているから写真を飾ろうという張り方でありながらも「これでいいのだ」という絶妙なバランスのようなものを感じます。
誰もいないので「すみませーん」と奥の厨房の方に声を掛けると、素敵なママさんがゆっくりと出てきました。
海に対して真正面の席を陣取り、珈琲をオーダー。
なんでも湧き水で淹れているそうで、すっきりとした味わいでありながら、コクもあり、とても美味しい珈琲でありました。
驚いたのはここからです。
ママさんが「東京からいらしたのですか?」と聞くので「ここを目指して荻窪から来ました」と応えたのです。
すると「あら、私、吉祥寺は庭っていうくらい詳しいのよ」とママさん。
話は盛り上がり、私がライブハウスをやっていることを伝えると、そのママさんが宮之上貴昭さん(当店で毎月ライブ、2号店ノースサイドで毎週ジャズセッションのリーダーをしているジャズギターの達人のお方)と親しいと言うではありませんか!
それでけではありません「岬」の隣にはちょっとしたライブスペースがあるそうで、そこではこれまた毎月当店に出演している高橋ゲタ夫さんらもライブをしたことがあるそう。
初めて訪れたお店でこんな話になるとは思いもよりませんでした。
もっといろんなお話を伺ってみたかったのですが、私に時間の余裕がなく、ここらで帰ることに。
いやいや、話してみなければわからないものですね。
私的にはそういう奇遇な部分もあり、びっくりさせられましたが、もちろんそんなことは関係なく、この音楽喫茶「岬」はとても不思議な魅力がいっぱいでした。
美味しい珈琲と素晴らしすぎるロケーションはもちろんのことですが、どこか古い友人の部屋をタイムスリップして訪ねたかのような空間だったのです。
恐らく、棚にあった懐かしいフォークやニューミュージックの色あせたカセットテープや外の犬小屋にいたのであろう犬とミュージシャンたちの写真、そして流れてくるベンチャーズやビージーズやブルースなどのBGMがそういう気持ちにさせているのだと思います。
店の片隅には左利き用のクラシックギターが2本とエレキギター。
さて、これはママさんの物なのか、誰かの思い出のそれなのか…。
「岬」は30年という歳月、大海原を見つめ続けてきたママさんのゆっくり流れている時間という名の大きなゆりかごのようでした。
忙しい日々から一息つきたくなったらまた揺られに行ってみようかなと思います。